日糖推 」1 成 9 7月 4日
日本糖 病対策推進会議を構成す 団体 御中
日本糖 病対策推進会議 会長 横 倉 義 武
公印省略
重症化予防 国保 後期広域 ワ キンググル プ ま 糖 病性腎症重症化予防 更 展開 向 公表 い
時 益々 清栄 慶び申し ます
度 厚生労働省保険 国民健康保険課 び 高齢者医療課 重症化予防 国保 後 期広域 ワ キンググル プ ま 糖 病性腎症重症化予防 更 展開 向 公 表 別添 周知協力方依頼 参 まし
糖 病性腎症重症化予防 推進 あ 行政 医療関係者 連携体制を構築し いく 必要 あ 都道府県 市町村 広域連合 関係団体 関係者等 立場 協力し 役 割を果 す 重要 います
まし 貴団体 まし 本件 い 了知い 管 都道府県支部等へ 周知 び協力方 まし 高配 ほ しく 願い申し ます
保 国 発 0710 第 14 号 保 高 発 0710 第 4 号 平 成 29 年 7 月 10 日
日本糖尿病対策推進会議会長 殿
厚生労働省保険局国民健康保険課長 厚 生労 働 省 保 険局 高 齢 者 医療 課 長
( 公 印 省 略 )
重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループとりとめ 「糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて」の公表について
国民健康保険及び後期高齢者医療の保健事業の推進につきましては、平素から格 別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。
この度、厚生労働省において重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループ とりまとめ「糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて」を公表したことを受 け、別添のとおり、都道府県・広域連合宛て通知を発出いたしました。
N O 項目
1 チーム形 成(国 保 ・衛 生・広域等)
2 健康 課題 の 把握
3 チーム内 での情 報共 有
4 保健 事業 の構 想 を練 る(予 算 等)
5 医師 会等 への 相 談(情報提供 )
6 糖尿 病対 策推 進 会議等 への相談
7 情報 連携 方法 の 確認
8 対象 者選 定基 準 検討
9 基準 に基づく該 当 者数 試算
10 介入 方法 の検 討
11 予算 ・人員 配 置の確 認
12 実施 方法 の決 定
13 計画 書作 成
14 募集 法の 決定
15 マニュアル作 成
16 保健 指導 等の 準 備
17
(外部 委託 の 場合) 事業 者との協 議、関係 者へ共有
18 個人 情報 の取 り決め
19 苦情 、トラブル対 応
重 症 化予 防の 基本 的な取組 の流 れ NO 項目
20
受
診
勧
奨
介入 開始 (受 診勧奨 ) 21 記録 、実 施 件数 把握 22 かか りつ け医との連 携 状況把握
23 レセプトにて受 診状 況把握
24
保
健
指
導
募集 (複数 の 手段で) 25 対象 者決 定 26 介入 開始 (初 回面接 ) 27 継続 的支 援
28 カンファレンス、安全 管理
29 かか りつ け医との連 携 状況確認
30 記録 、実 施 件数 把握
31
評
価
報
告
3か 月後 実 施状 況評価
32 6か 月後 評 価(実施 状況、データ)
33 1年 後評 価 (健診・レセプト)
34 医師 会等 への 事 業報告
35 糖尿 病対 策推 進 会議等 への報告
36
改
善
改善 点の 検討
37 マニュアル修 正
38 次年 度計 画策 定
計
画
・
準
備
P
D
D
C
A
平 成28年 度 厚生労 働 科学 研究 「 糖尿病 性 腎症 重症 化 予防プ ロ グラ ム の開発 の ため の研 究 」津 下一 代 ほか
庁 内連携
地 域連携
事 業計画
事 業実施
事 業評価
次年 度 事 業修正
糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて
(
平成2 9 年7
月1 0 日
重症化予防(
国保・
後期広域)
ワーキンググループと
り
ま
と
め)
2 .重症化予防を進める意義
(都道府県)
○
都道府県内の医療費適正化を推進、国保財
政の基盤強化
○
市町村等が基本的な取組を実施するときは、庁内連携、地域
連携、事業計画策定、事業実施、事業評価、次年度事業の修正
をP D C A により実施することが必要である。
○
特に、あらかじめ地域における医師会等の関係者と密接に連
携することが必要である。
【実施すべき事項】
・医師会等に市町村等の課題や事業のねらいを情報提供する
・医師会等と連携方策について協議し共通認識の形成を図る
(参考)糖尿病性腎症重症化予防プログラム(平成28年4月20日付け保発 0420第4号保険局長通知)において、基本的な取組の考え方や取組 例を示している。地域の実情に応じた柔軟な対応が可能。
1 .現状
○
新規人工透析導入患者は約3万1千人であり、世界主要国のなかでは日本が最も人工透析患者数(人口
当たり)が多い。このうち、原疾患が糖尿病性腎症である者が4 3. 7 %と最も多い。
○
医科診療医療費全体のうち糖尿病による医療費は約1 . 2 兆円(4 . 4 %)を占める。
○
人工透析には一人月額約4 0 万円、年間約1 . 5 7 兆円を要する等、医療費全体から見ても大きな課題。
3.基本的な取組の流れ
(市町村・広域連合)
○
住民の健康保持・増進
○
医療費適正化、保険料の伸び抑制
(かかりつけ医・専門医等)
○
医療機関未受診・治療中断患者の受診
○
医療機関の人的・物的資源の効率的活用
(患者及び家族)
○
心身の苦痛、行動制限、金銭等の負担軽減
○
健康保持・増進、健康寿命の延伸、Q O L 向上
5.更なる展開に向けた取組
課 題
更 なる展開に向けて
●
取 組を実施し
ない市町村
の 存 在
●
幹 部 等 のリ
ーダーシッ
プ
の 不 足
○
市 町 村 の意識の啓発
・
首長・
幹部等が意義を理解し
リ
ーダーシッ
プを発揮し
優先順位を上げるこ
と
が重要。
・
都道府県や国保連の研修等を活用し
た専門的人材の育成、
国保担当課と
健康増進
担当課等と
の連携による庁内人材の効率的活用、
外部委託事業者の活用等が必要。
・
健康の保持増進、
健康寿命延伸と
医療費適正化を目指す目標の明確化が重要。
●
組 織 の 縦割り
の弊害
○
担 当 課 の縦割の排除
・
予防・
健康づく
り
の施策と
医療費を踏まえた対応に向け、
健康増進担当課と
国保担当
課等における縦割を排除し
、
組織一体的に取り
組むこ
と
が必要。
・
事務職の役割も
大きく 業務を整理し
個人の属性に頼ら
ない仕組み化が重要。
・
窓口を明示し
て内外の情報共有や協議を円滑にする工夫が必要。
●
事 業 目 的と
のかい離
●
状 況 に応じ
た対象者の
限 定 ・
変更
○
抽 出 基 準の明確化
・
従来の業務と
の連続性が重要。
・
市町村等の状況に即し
た適切な対象者の抽出基準を設定するこ
と
が必要。
・
抽出基準が課題を解決するために適切か、
医師会等と
検討が必要。
●
医 師 会 ・
かかり
つけ医等
との 連 携不足
○
医 師 会 等と
の連携の推進
・
対象者への継続的な医療を担う
かかり
つけ医等と
の連携は不可欠。
特に、
受療中断
者や治療中の患者を対象と
する場合は個別に連携・
協力が必要。
こ
のため、
企画段
階から
医師会等と
協議し
実施体制の合意形成が重要。
・
かかり
つけ医・
専門医等の連携が円滑に進むよう
地域の連携体制の整備が必要。
●
糖 尿 病 対策推進会議等
との 低 い連携
○
都 道 府 県糖尿病対策推進会議等と
の連携
・
都道府県と
の連携体制を確認し
たう
えで、
糖尿病対策推進会議等と
連携するこ
と
が
必要。
C KD対策のネッ
ト
ワーク
も
活用が可能。
・
情報提供のみではなく
、
取組のあり
方や実施方法等について糖尿病対策推進会議と
直接相談するこ
と
が重要。
(1)市町村
課 題
更 なる展開に向けて
●
幹 部 等 のリ
ーダーシッ
プの 不 足
○
都 道 府 県の意識の啓発
・
平成30年度から
国保の保険者と
し
ての役割を担う
ため、
都道府県全体の問題と
し
て幹
部等のリ
ーダーシッ
プが発揮さ
れるよう
進め、
主体的な取組と
市町村等への支援を行う
こ
と
が重要。
●
庁 内 の 縦割
○
担 当 課 の縦割り
の排除
・
部署間の連携を密にするこ
と
が必要。
・
健康増進計画、
医療費適正化計画等の策定主体と
し
て、
関係課が一体で取り
組むべき。
●
都 道 府 県の取組の温
度 差
○
市 町 村 等への支援
・
都道府県の連携体制、
支援内容の機能等を市町村等へ示すこ
と
が必要。
・
市町村等の実施状況を定期的に把握し
、
遅れている市町村を重点的に支援するこ
と
が
必要。
・
市町村等に都道府県の持つデータ
を提供するこ
と
が必要。
・
人材不足・
財政不足に悩む市町村等に人的・
財政的支援を行う
こ
と
が必要。
・
保健所の機能・
人材を有効に活用し
、
医療関係者と
市町村等のつなぎ役と
なる。
課 題
更 なる展開に向けて
●
市 町 村 と
の連携不足
○
市 町 村 と
の連携の推進
・
保険者機能を有する者と
し
て、
保有する後期高齢者の健診・
医療情報を積極的に構成
市町村に提供。
・
広域連合と
市町村の双方参画のも
と
で企画運営組織を設け、
定期的に会議を開催する
など、
実施体制の確保に努めるこ
と
が必要。
・
高齢期に一貫性、
連続性のある取組を行えるよう
、
市町村と
情報や課題を共有し
、
一貫
し
た保健指導を行う
など連携を推進が必要。
(
2
)
広域連合
(
3
)
都道府県
課 題
更 なる展開に向けて
●
市 町 村 等と
の連携不
足
●
連 携 の 認識不足
○
糖 尿 病 対策推進会議等と
市町村等と
の連携の意義
・
従来の事業のほか、
行政と
連携・
協力し
て行う
個々の支援を想定し
た具体的取組の検
討を進めるこ
と
が必要。
●
構 成 団 体の地域差
●
市 町 村 への周知不足
○
糖 尿 病 対策推進会議等の体制のあり
方
・
かかり
つけ医等と
専門医等が連携できる団体構成と
すると
と
も
に、
歯科・
保健・
看護・
栄
養・
薬剤等の幅広い専門職と
連携を図るこ
と
ができる体制が必要。
●
市 町 村 等と
の直接的
な連 携 の不足
○
市 町 村 等と
の連携体制の構築
・
都道府県と
連携を進め、
都道府県糖尿病対策推進会議と
市町村等の連携のあり
方を
あら
かじ
め協議し
、
地域の実情に合っ
た体制構築に協力するこ
と
が必要。
・
必要な場合には専門医等へ相談できる支援体制を構築するこ
と
が必要。
・
市町村担当者が直接相談できる一元的な窓口を提示する。
●
少 ない連携協定の締結
●
都 道 府 県医師会・
都道
府 県 糖 尿病対策推進会
議 等 との連携不足
○
医 療 関 係者と
の連携の促進
・
都道府県医師会・
糖尿病対策推進会議・
拠点病院等の医療関係者と
の連携を仲立ち
する役割が必要。
・
糖尿病対策推進会議等の地域の実情に応じ
た組織を柔軟に活用し
て連携の枠組みを
作り
、
市町村に具体的な連携方法等を情報提供するこ
と
が必要。
・
都道府県医師会・
糖尿病対策推進会議等と
連携協定を締結する。
●
都 道 府 県版プログラ
ム
の 未 策 定
○
都 道 府 県版重症化予防プログラ
ム策定の推進
・
市町村等の状況に応じ
た選定基準が設定できるよう
にする。
・
かかり
つけ医等と
保険者が相互に補完し
ながら
策定するこ
と
が必要。
・
地域の課題に柔軟に対応できるも
のと
し
つつ、
連携体制など共通事項を示し
、
関係者
と
の関係づく
り
、
進捗管理、
人材の計画的養成などを行う
。
・
策定に当たっ
ては、
保険者努力支援制度で市町村・
都道府県が評価さ
れるこ
と
を念頭
におく
。
(
3
)
都道府県(
つづき)
(
4
)
糖尿尿対策推進会議等
課 題
更 なる展開に向けて
●
多様な治療ガイド
ラ
イン
の 存 在
●
多 く
の 専 門職種の関わ
り
○
構 成 団 体による取組の推進
・
各構成団体は、
担当者を置き専門性に応じ
た可能な取組を行う
こ
と
が必要。
・
重症化予防に寄与する多職種は必要に応じ
て協力体制を構築し
効果的に実施する。
・
学会等でのシンポジウムや研修会を関係団体共同で開催するこ
と
により
、
会員へ連携
体制を周知・
啓発するこ
と
が重要。
・
かかり
つけ医と
専門医等が地域で連携できる仕組みを築く
こ
と
が必要。
課 題
更 なる展開に向けて
○
保 険 者 保有データ
の未
活 用
○
KDB活 用 等 による支援
・
健診データ
と
合わせてレセプト
データ
から
受診状況、
服薬等の状況の確認ができるた
め、
KDBにより
レセプト
データ
の活用を再検討するこ
と
が重要。
・
今後も
支援・
評価委員会や
KDBを充実し
て市町村への支援を行う
こ
と
が必要。
(
6
)
国保連
課 題
更 なる展開に向けて
●
都 道 府 県・
市町村と
の
連 携 体 制構築の問題
○
医 師 会 等関係団体による行政機関と
の連携
・
医療関係団体それぞれが連携が進んでいない市町村等の求めに応じ
て必要な協力を
行う
よう
周知・
啓発が必要。
(
4
)
糖尿尿対策推進会議等(
つづき)
(
5
)
関係団体
課 題
更 なる展開に向けて
●
対 象 者 からの受診勧奨や
保 健 指 導の断り
○
住 民 の理解と
参加を得るための方策の推進
・
対象者及び家族や近隣住民、
地域の企業等へわかり
やすい方法で周知徹底が重要。
・
対象者自身が自主的に取り
組むよう
、
個人インセンティ
ブを併用するこ
と
も
必要。
・
保健指導員や健康づく
り
推進員の養成や催し
の開催、
要望の吸い上げ等、
住民を受
け手から
担い手にする健康なまちづく
り
の工夫が必要。
●
取 組 等 の濃淡の存在
○
取 組 等の濃淡を比較する手法の検討・
開発
・
基本的な取組を他市町村等と
比較するこ
と
が難し
く
、
実施状況の濃淡や自市町村等
の位置づけが見える手法が検討・
開発さ
れるこ
と
が必要。
○
取 組 の目標・
評価・
手法の検討
・
短・
中・
長期の評価指標を設定し
、
各期間で
PDCAサイク
ルを意識し
た評価が必要。
・
エビデンスを踏まえたより
効果の高い取組の手法が検討さ
れるこ
と
が必要。
・
効果的な介入方法、
相関の高い評価指標を検討・
開発するこ
と
が必要。
●
保 健 ・
医療・
福祉等と
の連
携 不 足
○
地 域 包括ケアに向けての体制づく
り
・
国保では前期高齢者の割合が高いこ
と
から
、
医療サービスに止まら
ず、
高齢者を支え
る地域包括ケアシステムの構築を念頭に重症化予防に取り
組むこ
と
が必要。
(
7
)
取組内容の充実
6.国による支援
○
研究の推進
・継続的に市町村等の取組状況を把握し、国版プログラムの評価・検証することが必要。
○
取組状況の把握と情報提供・働きかけ
・市町村等の取組状況を評価・分析し、今後の取組の方向性を整理することが必要。
・都道府県の支援状況等を把握し、都道府県間の進捗状況をフィードバックし助言することが必要。
○
先進的事例の収集と横展開
・好事例の収集・横展開に努めることが重要。(とりまとめ別冊として事例集を作成)
○
医療関係者との連携
・国、都道府県、市町村、広域連合それぞれのレベルで医療関係者と連携を図ることが重要。特に国では、
○
制度的なインセンティブの活用
・平成3 0 年度からの保険者努力支援制度(支援金)では重症化予防の取組を指標としているが、今後さらに
指標の内容を進化させることが必要。
○
関係施策との連携
・法定の計画や施策と密に連携する必要があることを都道府県に周知・啓発することが重要。
6.国による支援(つづき)
7
○
外部委託事業者の活用と留意点
・市町村等は、地域の実情に応じた必要な指示を行うなど、司令塔としての役割を果たすことが必要。
○
個人情報の取扱い
・健診・レセプトデータは個人情報保護法に定める要配慮個人情報に該当するため、あらかじめ取扱いについ
て整理することが重要。
・市町村等による保健事業での個人情報の活用は一般的に条例で定める法令上通常想定される目的内利用であ
り、改めての個人同意は不要。
・市町村等が有する健診・レセプトデータ等の個人情報は本人同意があれば都道府県への情報提供が可能。平
成3 0 年4 月以降は給付点検等に必要な範囲は、条例の範囲内で本人同意なくとも活用可能。
・医療機関はガイダンスに従い個人情報を取り扱うことが必要。
・外部委託事業者は条例・契約書の定めに従い、安全管理措置等万全の対策を講じることが必要。
○
被用者保険との連携
・国保の加入前からの予防・健康づくりが重要であり、被用者保険との情報提供の推進が重要。
・保険者協議会等を通じて、被用者保険から国保、後期高齢者医療制度の一貫した重症化予防の取組が重要。
○
高齢者に対する対応
・後期高齢者は、前期高齢者であったときの状況やその後の状況変化が、加齢に伴う心身機能の変化とともに
健康状態等へ影響を及ぼす可能性を考慮し、国保等の若者世代から連続した取組を進めることが必要。
7.留意点
糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて
平成 29 年7月 10 日
重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループ
重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループ
【構成員】◎ :座長 ◎ 津下 一代
榛澤 俊成(第1∼4回)
栁澤 和也(第5∼7回)
宮田 俊男 橋田 淳一 飯山 幸雄
唐橋 竜一(第1∼4回)
清水 雅之(第5∼7回)
佐藤 文俊 片岡 孝 春日 雅人 今村 聡 迫 和子
福井 トシ子(第1∼6回)
中板 育美(第7回)
深井 穫博(第1回)
髙野 直久(第2∼7回)
山縣 邦弘 門脇 孝 有澤 賢二 森山 美知子
所属五十音順 あ い ち 健 康 の 森 健 康 科 学 総 合 セ ン タ ー セ ン タ ー 長 神奈川県後期高齢者医療広域連合 事務局長
神奈川県後期高齢者医療広域連合 事務局長 京都大学産官学連携本部 客員教授
高知県梼原町保健福祉支援センター センター長 国民健康保険中央会 常務理事
埼玉県保健医療部保健医療政策課 政策幹 埼玉県保健医療部 健康長寿課長
全国国民健康保険組合協会 常務理事 東京都荒川区 福祉部長
糖尿病対策推進会議 常任幹事 日本医師会 副会長
日本栄養士会 専務理事 日本看護協会 常任理事 日本看護協会 常任理事 日本歯科医師会 常務理事 日本歯科医師会 常務理事 日本腎臓学会 理事
日本糖尿病学会 理事長 日本薬剤師会 常務理事
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 教授
【オブザーバー】
渡辺 俊介 日本健康会議 事務局長
【開催日】
第1回:平成 27 年 11 月9日 第2回:平成 28 年3月 28 日 第3回:平成 28 年 11 月 15 日 第4回:平成 29 年2月6日 第5回:平成 29 年4月5日 第6回:平成 29 年5月 31 日 第7回:平成 29 年7月6日
【事務局】
i
糖尿病性腎症重症化予防の更なる展開に向けて
目次
Ⅰ.糖尿病性腎症の現状と重症化予防の意義 . . . 1
1 糖尿病性腎症の現状 . . . 1
2 重症化予防のエビデンス . . . 1
3 重症化予防を進める意義 . . . 2
4 基本的な方向 . . . 2
Ⅱ.重症化予防に向けた取組の現状 . . . 4
1 重症化予防に向けたこれまでの取組 . . . 4
(1)先進自治体の取組 . . . 4
(2)医療関係者の動き . . . 4
(3)日本健康会議の動き . . . 5
(4)健康なまち・職場づくり宣言 2020 の達成基準の設定 . . . 6
(5)連携協定の締結 . . . 6
(6)重症化予防プログラムの策定 . . . 7
(7)研究班による研究の推進 . . . 8
(8)厚生労働省における財政支援 . . . 8
2 保険者データヘルス全数調査等から見た自治体の取組状況 . . . 10
(1)市町村 . . . 10
(2)広域連合 . . . 12
(3)都道府県 . . . 12
3 個別ヒアリングで取り上げた自治体の取組の特徴 . . . 18
Ⅲ.日本健康会議が掲げる目標の実現に向けた課題 . . . 22
1 日本健康会議が掲げる目標の実現に向けた課題 . . . 22
(1)「対象者の抽出基準が明確であること」について . . . 22
ii
(3)「保健指導を実施する場合には、専門職が取組に携わること」について . . 23
(4)「事業の評価を実施すること」について . . . 24
(5)「取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の糖尿病対策推進会議 等との連携を図ること」について . . . 25
Ⅳ 基本的な取組の流れ . . . 26
1 基本的な取組の流れ . . . 26
(1)基本的な取組方策 . . . 26
(2)基本的な取組の流れ . . . 26
2 基本的な流れの留意点 . . . 28
(1)対象者選定(抽出) . . . 28
(2)介入 . . . 29
(3)評価 . . . 30
Ⅴ.更なる展開に向けた取組 . . . 31
1 市町村での取組の推進 . . . 31
(1)市町村の意識の啓発 . . . 31
(2)担当課の縦割の排除 . . . 32
(3)抽出基準の明確化 . . . 33
(4)医師会・かかりつけ医等との連携の推進 . . . 35
2 広域連合での取組の推進 . . . 38
(1)広域連合の意識の啓発 . . . 38
(2)市町村との連携の推進 . . . 39
(3)医師会等との連携 . . . 40
3 都道府県による取組の推進 . . . 41
(1)都道府県の意識の啓発 . . . 41
(2)担当課の縦割の排除 . . . 42
(3)市町村等への支援 . . . 42
(4)医療関係者との連携の推進 . . . 44
(5)都道府県版重症化予防プログラムの策定の推進 . . . 46
iii
(1)糖尿病対策推進会議等と市町村等との連携の意義 . . . 48
(2)糖尿病対策推進会議等の体制のあり方 . . . 49
(3)糖尿病対策推進会議等と市町村等との連携体制の構築 . . . 50
(4)構成団体による取組の推進 . . . 51
5 医師会等医療関係団体による行政機関との連携 . . . 53
6 国保連による支援 . . . 54
7 重症化予防の取組内容の充実 . . . 55
(1)住民の理解と参加を得るための方策の推進 . . . 55
(2)市町村等の取組の濃淡を比較する手法の検討・開発 . . . 57
(3)取組の目標・評価・手法の検討 . . . 57
(4)地域包括ケアに向けての体制づくり . . . 59
8 国による支援 . . . 60
(1)研究の推進 . . . 60
(2)市町村・広域連合・都道府県の取組状況の把握と情報提供・働きかけ . . . . 60
(3)先進的事例の収集と横展開 . . . 60
(4)医療関係者との連携 . . . 60
(5)制度的なインセンティブの活用 . . . 60
(6)関係施策との連携 . . . 61
Ⅵ.取組を推進する上での留意点 . . . 62
1 関係者の間での目的・ねらいの共有 . . . 62
2 外部委託事業者の活用と留意点 . . . 62
3 個人情報の取扱い . . . 63
4 被用者保険との連携 . . . 65
1 Ⅰ.糖尿病性腎症の現状と重症化予防の意義 1 糖尿病性腎症の現状
我が国では、社会環境や生活習慣の変化、さらには高齢化の進行に伴い、生活習慣病 が増加し、健康施策の中心的な対象疾患となっている。生活習慣病による死亡者は約 699 万人(約 54. 1%)
1
、糖尿病を主な傷病として継続的に医療を受けている患者は約 317 万人
2
おり、さらに、糖尿病の可能性が否定できない者は過去5年間で 60 万人増加して 1, 100 万人
3
であった。また、新規の人工透析導入患者は約3万1千人となっており、世 界主要国の中では、日本が最も人工透析患者数(人口当たり)が多い
4
。このうち、原疾 患が糖尿病性腎症である者が 43. 7%
7
と最も多い状況にある。
医療費をみると、医科診療医療費全体約 29. 3 兆円のうち、生活習慣病による医療費 は約 30. 9%
5
、糖尿病による医療費は約 1. 2 兆円(約 4. 4%) 6
を占めている。人工透析 には一人月額約 40 万円を要することから、これに係る年間医療費の総額は約 1. 57 兆円 7
に達する等、医療費全体から見ても大きな課題となっている。したがって、国民の健康 保持・増進のため、糖尿病及び糖尿病性腎症等の合併症の発症や進展等の重症化予防に 重点を置いた対策が重要である。
そのため、糖尿病が強く疑われる者や糖尿病を有する者などのうち重症化リスクの高 い者の健康保持・増進を図るほか、健康寿命の延伸と医療費の適正化の観点から、糖尿 病性腎症重症化予防の取組を推進することが喫緊の課題となっている。
2 重症化予防のエビデンス
糖尿病性腎症の重症化予防については、疫学的なエビデンスも蓄積されてきている。 例えば、保存期腎不全患者(eGFR60mL/ 分/ 1. 73m
2
/ 月)における多職種介入効果について、 多職種が介入した群と介入していない群を比較検討した結果では、介入群では非介入群 と比べて eGFR 低下速度が有意に遅くなり、心血管イベントや感染が少なかったという ことや、医療コストについても、介入群では非介入群と比べて年間一人当たりの医療費、 救急科でのコスト、入院費が有意に低くなることが分かっている
8 。
また、かかりつけ医と腎臓専門医の連携については、高血圧又は糖尿病を合併する CKD (慢性腎臓病)患者に対して、通常の診療のほか、受診促進支援(2 ヶ月以上中断者)、 診療支援 I T システムによる情報提供(1、6ヶ月毎)、生活・食事指導(3ヶ月毎)を 行った介入群と対照群を5年間追跡したところ、介入群でプログラムに則り外来管理す ることで、血糖コントロールが有意に改善し、eGFR 低下率が有意に遅くなり、CKD の進 行が遅くなることが分かっている
9 。
1
厚生労働省「人口動態調査」(平成 27 年)
2
厚生労働省「患者調査」( 平成 26 年) 3
厚生労働省「国民健康・栄養調査」( 平成 24 年) 4
OECD Heal t h St at i s t i c s 2015 5
厚生労働省「国民医療費の概況」(平成 26 年度)
6
厚生労働省「国民医療費の概況」(平成 26 年度)
7
( 社) 日本透析医学会「我が国の慢性透析療法の現状」( 平成 25 年末) 8
Chen, P. M. , et al . ,Mul t i di s c i pl i nar y Car e Pr ogr am f or Advanc ed Chr oni c Ki dney Di s eas e: Reduc es Renal
Repl ac ement and Medi cal Cos t s . Amer i can J our nal of Medi c i ne, 2015. 128( 1) : p. 68- 76 9
2 3 重症化予防を進める意義
糖尿病性腎症の原疾患である糖尿病は、過食、運動不足などの生活習慣及びその結果 としての肥満が原因となり、インスリン作用不足を生じて発症することが多い
10
。さら に、糖尿病性腎症の発症・進展抑制には、血糖値と血圧のコントロールが重要である。 また、腎症の進展とともに大血管障害の合併リスクが高くなるため、肥満、脂質異常症、 喫煙などの因子の管理も重要である
11 。
後期高齢者については、複合的な疾病合併のみならず、老化に伴う諸臓器の機能低下 を基盤として、フレイル、サルコペニア、認知症等の進行が見られ、個人差が大きいた め、各対象者の状況を総合的に把握し、個人差等に応じた包括的な対応が特に必要であ る
12
。したがって、糖尿病性腎症重症化予防においては、これらの留意事項を踏まえて 主体的な生活習慣改善を促すとともに、必要な者に対して適切に保健指導等を実施する 必要がある。
糖尿病性腎症は、患者及び家族にとって身体的・精神的な苦痛のみならず、行動の制 限、金銭的支出などにおいても大きな負担が、早期発見・早期介入することで、それら の負担が軽減されることとなる。患者及び家族が糖尿病性腎症重症化予防の取組に参加 することは、生涯にわたっての健康保持・増進、健康寿命の延伸、ひいては QOL 向上に つながるという個人のメリットにつながるものである。
保険者である市町村や後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)にとっ ては、重症化予防の取組は、医療機関が直接関わることが難しい治療中断者や未治療者 を洗い出して個別に直接アプローチを行う取組を含むものであり、住民の健康保持・増 進につながるとともに医療費適正化にもつながるため、実施する意義は大きい。
都道府県は、平成 30 年度からは、市町村とともに国民健康保険(以下「国保」とい う。)の財政運営の責任を担い、国保運営に中心的な役割を果たすこととなり、また、 医療計画により医療提供体制について、医療費適正化計画により域内の医療費について それぞれ役割を担っていることから、今後都道府県の医療費に対するガバナンスも大き く期待されることとなる。そういった中で、都道府県にとっても重症化予防の取組によ り、都道府県内の医療費について適正化を推進し、もって、国保財政の基盤を強化する よう努めるメリットは大きい。
かかりつけ医・主治医 (以下「かかりつけ医等」という。)、専門医等にとっても、 重症化予防が進められることは、医療機関未受診・治療中断した患者の洗い出しが進め られ、行政機関から勧奨されることで、適切な受診の増加につながり、また、患者の重 症化予防・改善が進められることで、医療機関の有する貴重な人的・物的資源をより効 率的に活用できるようになる。併せて、市町村及び広域連合(以下「市町村等」という。) が行う保健指導等は患者の健康の保持・増進に寄与することを踏まえ、市町村等との連 携・協力が進むことが期待される。
4 基本的な方向
糖尿病性腎症の重症化は、患者の健康を著しく損なうとともに、医療経済的にも大き
10
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイドライン 2016」(平成 28 年 6 月)
11
日本腎臓学会「CKD 診療ガイド 2012」(平成 24 年 7 月) 12
3
な負担を社会に強いることとなるため、国においては、健康日本 21(第2次) 13
におい て糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少、糖尿病患者の受療率の向上、糖 尿病有病者の減少等を数値目標として掲げ、様々な取組を進めており、健康の増進に関 する基本的な方向としては、健康寿命の延伸と健康格差の縮小、生活習慣病の発症予防 と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)等を掲げている。さらに、データ ヘルスの一環として、「経済財政運営と改革の基本方針 2015」(平成 27 年6月 30 日閣議 決定)において重症化予防を含めた疾病予防等に係る好事例を強力に全国に展開するこ ととされた。
このような中で、平成 27 年7月 10 日に健康寿命の延伸とともに医療費の適正化を図 ることを目的に日本健康会議(後述)が発足し、「健康なまち・職場づくり宣言 2020」 が採択された。その中の宣言2「かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に 取り組む自治体を 800 市町村、広域連合を 24 団体以上とする。その際、糖尿病対策推 進会議等の活用を図る。」の達成に向けて、まずは要件を満たす市町村、広域連合の取 組を増やすことが当面の課題であるが、取組の裾野は広がりを見せている。これからは さらに重症化予防に取り組む市町村、広域連合を増やすとともに、健康寿命の延伸、医 療費の適正化を踏まえ、取組内容の濃淡を見える化し、効率的・効果的な取組を推進す ることが必要であり、加えて、都道府県による市町村等への支援、市町村等とかかりつ け医等との連携も推進されるべきである。そのためには、改めて既存の取組のあり方を 見直すとともに、取組の更なる推進を後押しする仕組みの検討(保険者努力支援制度(後 述)の評価指標等の検討)を進める必要がある。
13
平成 25 年度から平成 34 年度までの国民健康づくり運動を推進するため、健康増進法に基づく「国民の健康の増進
4 Ⅱ.重症化予防に向けた取組の現状
1 重症化予防に向けたこれまでの取組 (1)先進自治体の取組
国保の保険者である市町村をはじめとして、自治体発で様々な重症化予防の取組が先 進的に進められている。
(呉市の例)
呉市では、専門能力のある民間事業者を上手く活用し、レセプト(診療報酬明細書) 等を分析するとともに、さらに、地元医師会に協力を求め、専門医やかかりつけ医等と の連携を行うことで、保健指導の対象者を明確に洗い出し、糖尿病性腎症重症化予防の 取組を実施してきた。また、同市では国保加入者の高齢化率、一人当たり医療費などが 全国平均と比べ高いことから、国保財政に関する危機意識を地元医師会、歯科医師会、 薬剤師会との間で共有することで、多職種連携を推進し、対象者への総合的なアプロー チを進めてきた。併せて、地元の大学等との連携により、糖尿病性腎症重症化予防事業 についての協議や効果検証などを行い、より効果的な事業の実施に向けて取組を進めて きた。
(埼玉県の例)
埼玉県では、平成 26 年5月に埼玉県医師会・埼玉県糖尿病対策推進会議と連携し、 都道府県レベルで、県医師会、県糖尿病対策推進会議と協力して糖尿病性腎症重症化予 防プログラム(以下「都道府県版プログラム」という)を策定した。その中で「目的」、 「対象者の抽出基準」、「未受診、受診中断者への受診勧奨」、「通院患者への保健指導」、 「保健指導実施後の継続支援」、「事業評価」及び「かかりつけ医と糖尿病専門医の連携」 を明確に示し、県内の市町村と医療関係者が連携するための基盤整備を進め、県内市町 村との共同による糖尿病性腎症重症化予防の取組を進めてきた。
(先進事例のポイント)
これらの先進事例では、市町村が保有する健診結果やレセプト等のデータを活用し、 及び分析することで介入すべき対象者や取り組むべき課題を明確にしたこと、都道府県 や医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会、栄養士会等といった関係団体(以下「医 師会等」という)、学会を巻き込んだ体制を構築し効果的な事業運用が展開されたこと、 これらの事業評価を行ったこと、などが功を奏したと考えられたため、重症化予防にお ける好事例として全国に横展開されることとなった。
(2)医療関係者の動き
5
り、平成 22 年2月に組織の改編が行われ、日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病 協会及び日本歯科医師会を「幹事団体」と位置付け、健康保険組合連合会、国民健康保 険中央会、日本腎臓学会、日本眼科医会、日本看護協会、日本病態栄養学会、健康・体 力づくり事業財団、日本健康運動指導士会、日本糖尿病教育・看護学会、日本総合健診 医学会、日本栄養士会、日本人間ドック学会、日本薬剤師会及び日本理学療法士協会を 「構成団体」として、様々な団体がより柔軟に参加、協力できる新たな体制で幅広く活 動している。また、各地域においても都道府県等で糖尿病対策推進会議が立ち上がり、 地域の実情に応じた取組が行われている。
(3)日本健康会議の動き
平成 27 年7月に、経済界・医療関係団体・自治体・保険者の民間主導で、健康寿命 の延伸とともに医療費の適正化を図り、予防・健康づくりの取組状況の「見える化」と 先進事例の「横展開」を強く進めていくために、「日本健康会議」が発足した。
このとき、平成 32 年(2020 年)の数値目標を定めた8つの宣言からなる「健康なま ち・職場づくり宣言 2020」が取りまとめられたが、宣言2において「かかりつけ医等と 連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を 800 市町村、広域連合を 24 団体 以上とする。その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図る。」こととされ、糖尿病の重 症化予防を目標とする宣言が掲げられた(図表1)。また、この目標は我が国の経済財 政政策の司令塔である経済財政諮問会議の「経済・財政再生計画改革工程表」(平成 27 年 12 月)においても KPI
14
に位置付けられた。
【図表1】
宣言1
予防・健康づくりについて、一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体を8 0 0 市町 村以上とする。
宣言2
かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を8 0 0 市町村、広域連合 を2 4 団体以上とする。その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図る。
宣言3
予防・健康づくりに向けて、4 7 都道府県の保険者協議会すべてが地域と職域が連携した予防に 関する活動を実施する。
宣言4 健保組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業を5 0 0 社以上とする。
宣言5 協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上とする。
宣言6
加入者自身の健康・医療 情報を本人に分か りやすく提供する 保険者を原則1 0 0 %とする。その際 、 情報通信技術(I CT )等の活用を図る。
宣言7
予防・健康づくりの企画・実施を提供する事業者の質・量の向上のため、認証・評価の仕組み の構築も視野に、保険者 からの推薦等一定 の基準を満たすヘ ルスケア事業者を1 0 0 社以上とする 。
宣言8
品質確保・安定供給を国に求めつつ、すべての保険者が後発医薬品の利用勧奨など、使用割合 を高める取組を行う。
日本健康会議「健康なまち・職場づくり宣言2020」
「 経済・財政再生計画改革工程表」のKPI(20 20年度まで)
・ か かりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体等【800市町村、24後期広域連
合】
○ 日本健康会議で、2 0 2 0 年の数値目標を入れた「健康なまち・職場づくり宣言2 0 2 0 」を取りまとめ(H 2 7 年7 月)。政府の「改革工程表」のKPIにも位置づけられた。
14
6
翌年の平成 28 年7月には、日本健康会議 2016(第2回)が開催され、同年3月現在 の全保険者を対象とした「健康なまち・職場づくり宣言 2020」に係る達成状況調査の 調査結果を公表した。その後、日本健康会議データポータルサイト
15
において、その達 成状況を公表、併せて、都道府県ごとに各宣言の達成状況をデータマッピングで見える 化して実施するなど、取組の加速化を図っている。
(4)健康なまち・職場づくり宣言 2020 の達成基準の設定
日本健康会議で平成 27 年7月に取りまとめられた「健康なまち・職場づくり宣言 2020」 に糖尿病の重症化予防に係る宣言が掲げられたことから、厚生労働省としてもこの動き をバックアップしていくために、同年 11 月、重症化予防に係る宣言(宣言2)の達成 基準のあり方について検討を行う「重症化予防(国保・後期広域)WG」(座長:津下 一代あいち健康の森健康科学総合センター長)を設置し、市町村等における取組の実施 状況を把握しながら検討作業を進めた。その結果、平成 28 年3月にWGとして考え方 を整理し、以下の5つの要件を全て満たす場合に、宣言2における市町村・広域連合と して数えることができることとした。
生活習慣病の重症化予防の取組のうち、
① 対象者の抽出基準が明確であること。
② かかりつけ医と連携した取組であること。
③ 保健指導を実施する場合には、専門職が取組に携わること。
④ 事業の評価を実施すること。
⑤ 取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の糖尿病対策推進会議
等との連携(各都道府県による対応策の議論や取組内容の共有など)を図ること。
※ 国保は糖尿病性腎症重症化予防にかかる取組を対象としているが、後期高齢者は、その 特性からそれ以外の取組についても対象とする。
(5)連携協定の締結
呉市、埼玉県等の先進自治体では、各自治体、医師会、糖尿病対策推進会議等が協働・ 連携できる体制が整備され、有機的な連携と相まって効果が上がっている。このように、 糖尿病性腎症重症化予防の取組を効果的に推進していくためには、市町村等と医療関係 者等が協働・連携できる体制の整備が重要である。
また、取組を広げていくためには、埼玉県の例のように、都道府県が当該都道府県の 医師会、糖尿病対策推進会議と協力し、都道府県版プログラムを作成することで、市町 村等の取組を促進することが効果的である。
このような実例を踏まえ、国レベルでも行政と医療関係者が連携する枠組みを構築す ることが、各都道府県・市町村等における重症化予防の取組を大きく後押しすることに つながることから、平成 28 年3月 24 日、以下を内容とする糖尿病性腎症重症化予防に
15
7
係る連携協定を、厚生労働省、日本医師会及び日本糖尿病対策推進会議の三者で締結し た。
① 厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議の三者で糖尿病性腎症重症化 予防プログラムを策定すること。
② 日本医師会において、策定するプログラムを都道府県医師会や郡市区医師会へ周 知し、かかりつけ医と専門医等との連携の強化など自治体等との連携体制の構築へ の協力すること。
③ 日本糖尿病対策推進会議において、策定するプログラムを構成団体へ周知し、国 民や患者への啓発すること。あわせて、医療従事者への研修に努め、自治体等によ る地域医療体制の構築に協力すること。
④ 厚生労働省において、策定するプログラムを自治体等に周知し、取組を行う自治 体に対するインセンティブの導入等を実施すること。加えて、自治体等の取組実績 について、分析及び研究の推進を図ること。
(6)重症化予防プログラムの策定
平成 28 年3月 24 日に締結された連携協定に基づき、厚生労働省、日本医師会及び日 本糖尿病対策推進会議は全国で糖尿病性腎症重症化予防に向けた取組を促進するため、 平成 27 年度厚生労働科学研究費補助金(糖尿病性腎症重症化予防プログラム開発のた めの研究(研究代表者:津下一代あいち健康の森健康科学総合センター長))の報告書 等を踏まえ、平成 28 年4月 20 日に糖尿病性腎症重症化予防プログラム(以下「国版プ ログラム」という)を策定した。
この国版プログラムは、糖尿病が重症化するリスクの高い者が腎不全、人工透析へ移 行することを防止するために、「基本的考え方」、「対象者選定の考え方」、「介入方法」、 「かかりつけ医や専門医等との連携」及び「評価」についての考え方や取組例を示した ものである。
こうした重症化予防の取組に当たっては、国、都道府県、市町村及び広域連合だけで なく、地域の医師会、糖尿病対策推進会議といった関係者の果たす役割も重要であるこ とから、それぞれの役割を明確にした。また、病期に応じた対象者の考え方や抽出方法、 病期に応じた介入の対応例を具体的に示している。
8 (7)研究班による研究の推進
平成 27 年度より、地域における重症化予防の取組が、糖尿病性腎症による腎機能悪 化防止、透析導入率の減少に与える効果の検証を目的として、厚生労働科学研究費補助 金により「糖尿病性腎症重症化予防プログラム開発のための研究」(研究代表者:津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター長))が開始された。
平成 27 年度は、実現可能性を考慮した糖尿病性腎症重症化予防プログラムを開発し、 これは、国版プログラム(平成 28 年4月)策定のベースとなった。研究班では、糖尿 病性腎症重症化予防プログラムの開発に当たって、糖尿病性腎症重症化予防に関するガ イドライン及び生活習慣介入に関する文献レビュー、都道府県等が策定した既存の糖尿 病性腎症重症化予防に関するプログラムの調査を行い、得られた知見を整理した。国内 では糖尿病性腎症重症化予防として多くの保健事業が行われているが、対象者選定基準 が不明確なものや病期別の対策が不十分、評価指標が示されていない等の課題があるこ とが明らかになったことから、関係者の役割、かかりつけ医等との連携などの体制構築 に係る留意点を示した糖尿病性腎症重症化予防プログラム案を作成した。
平成 28 年度は、91 自治体、5広域連合の参加を得て、当該研究班で開発した重症化 予防プログラム案がベースとなった国版プログラムによる実証研究を行うとともに、参 加自治体を対象とした研修会等を開催し、国版プログラムの基本的考え方を確認し、情 報交換を行った。また、参加自治体の進捗管理・データ登録シートを作成するとともに、 運営マニュアルや保健指導教材、Q&A を提供し、個別の支援にも応じた。この実証研 究では、受診勧奨の場合には継続受診を確認できた割合、保健指導の場合には行動変容 や血糖・血圧・体重、腎機能(尿蛋白、eGFR)など検査値の変化について、介入群と非 介入群で比較することとし、87 自治体 6995 例
16
が登録されたところである(平成 29 年 3月末時点)。
平成 29 年度は、実証研究において、参加自治体から収集した対象者データのデータ ベースを作成するとともに、実施体制、事業進捗状況、対象者抽出割合、受療状況や検 査値、レセプトデータ等を評価し、検証を進めている。
(8)厚生労働省における財政支援 (保険者努力支援制度)
医療保険加入者の予防・健康づくりを進め、ひいては医療費の適正化を進めるため、 国民健康保険制度改革の中で公費による財政支援の拡充を行う一環として、平成 30 年 度から自治体への新たなインセンティブ制度である保険者努力支援制度が創設される こととなった。さらに、同制度については、「経済財政運営と改革の基本方針 2015」(平 成 27 年6月 30 日閣議決定)を踏まえ
17
、平成 28 年度から、市町村に対して特別調整交 付金の一部を活用して前倒し実施している。
具体的な交付の仕方は、各市町村が持つ体制構築加点に、評価項目の達成状況に応じ て点数を加点し、合計点にそれぞれの市町村の被保険者数を乗じることで、その市町村 のトータルの持ち点を決め、市町村分に充てられる交付金額総額を、各市町村の持ち点
16
登録された 6995 例の属性は、年齢 66. 4± 7. 7 歳、HbA1c6. 98± 1. 31%、eGFR73. 0± 17. 3ml / mi n/ 1. 73 ㎡、糖尿病性
腎症病期分類:第 2 期以下 80. 6% 第 3 期 18. 5% 第 4 期 0. 9%であった。 17
9
に応じて按分して、交付金額が定まるようにすることとしている。市町村がそれぞれ工 夫して取組を行い、成果を上げれば、交付金がより多く得られることになる。
評価項目としては、保険者による健診・保健指導等に関する検討会の取りまとめ(28 年1月)において保険者共通の指標として糖尿病等の重症化予防の取組の実施状況が盛 り込まれたことから、地方団体と協議の上、国保については、重症化予防WGで取りま とめられた5つの基準をすべて満たす場合に最も高い配点で評価されることとし、市町 村に取組を進めるインセンティブを持たせた(図表2)。
【図表2】
市町村等に対する予防・健康づくり等のインセンティブの仕組み
○ 医療費適正化への取組や国保固有の構造問題への対応等を通じて保険者機能の役割を発揮してもらう
観点から、保険者としての努力を行う都道府県や市町村に対し、適正かつ客観的な指標(後発医薬品使用 割合・収納率等)に基づき得られる得点に応じて支援金を交付することで、国保の財政基盤を強化する。
〇 H28・29年度は市町村について特別調整交付金の一部を活用して前倒し実施。(H28年度は150億円)
〇 H30年度以降は都道府県・市町村合わせて700∼800億円程度。
【評価指標の考え方について】
〇 保険者種別それぞれの特性に応じた新たなインセンティブ制度を設ける中で、保険者種別共通の項目を設定。各
項目の具体的な基準や、保険者種別の特性を踏まえて追加する項目は保険者種別毎に設定。
○ 糖尿病等の重症化予防、後発医薬品の使用促進、特定健診受診率向上、個人へのインセンティブ提供などの医
療費適正化に資する取組の実施状況を共通項目として設定する。
【評価指標ごとの加点の考え方について】
○ 各評価指標ごとに医療費適正化効果、取組の困難さ及び基礎的な体制構築等を総合的に考慮し5∼40点を配点
する。
保 険 者 努力支援制度
加点 項目
40点
重症化予防の取組、収納率向上
※ 本来「後発医薬品の使用割合」はこの配点であるが、使用割合の把握方法が不十分なため暫定的に15点と する。
20点
特定健診受診率、特定保健指導実施率、メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率、 個人へのインセンティブ提供、個人への分かりやすい情報提供
15点
※ 暫定的な点数設定
後発医薬品の使用割合、後発医薬品の促進の取組
10点
がん検診受診率、歯周疾患(病)検診、重複服薬者に対する取組、 データヘルス計画の策定、医療費通知の取組、第三者求償の取組 5点 地域包括ケアの推進
〔概要〕
〔規模〕
(保健事業への助成)
また、厚生労働省では従来から国保の実施する保健事業に対して国保ヘルスアップ事 業及び国保保健指導事業の区分で助成を行っているが、平成 28 年度から助成対象とし て糖尿病性腎症重症化予防を明確に位置付けた。特に、国保ヘルスアップ事業は、デー タヘルス計画に沿った保健事業を実施すること、国民健康保険団体連合会に設置された 学識経験者等から構成される支援・評価委員会を活用することを要件とした上で厚めに 助成しており、保健事業をデータ分析に基づく PDCA サイクルに沿って効率的・効果的 に実施することを目指している。
(特別調整交付金によるインセンティブ等)
10
活習慣病等重症化予防の取組を含む高齢者の特性を踏まえた保健事業(モデル事業)に ついて、広域連合を対象とする補助制度を始めている。
2 保険者データヘルス全数調査等から見た自治体の取組状況 (1)市町村
日本健康会議が、平成 28 年7月に全保険者を対象とした保険者データヘルス全数調 査(平成 28 年 3 月時点調査)を実施したところ、図表3のとおり、「糖尿病性腎症の重 症化予防の取組を行っている」としているのは 659 市町村であったが、そのうち、宣言 2の達成基準の一つである「⑤取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の 糖尿病対策推進会議等との連携を図ること」を満たすのは 136 市町村と 1/5 に減少し ており、連携が大きな課題になっていることがうかがえる。結果として、宣言2の達成 基準を全て達成しているのは 118 市町村であった。
【図表3】
保険者 全体
市町村 国保
広域連合
糖尿病性腎症の重症化予防の取組を行っている 1,104 659 9
現在は実施していないが予定あり 602 362 10
現在も過去も実施していない 1,385 520 12
過去実施していたが現在は実施していない 66 35 0
①対象者の抽出基準が明確であること 1,035 622 7
②かかりつけ医と連携した取組であること 523 503 6
③保健指導を実施する場合には、専門職が取組に携わること 823 566 5
④事業の評価を実施すること 932 582 6
⑤取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の糖尿病対策推進会議
等との連携(各都道府県による対応策の議論や取組内容の共有など)を図ること 150 136 2
全要件達成数(対象保険者) 118 4
かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取
り組む自治体 を800市町村、広域連合を24団体以上とする。
その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図る。
宣言2
重症化予防の達成基準の該当状況
保険者データヘルス全数調査の達成状況
11 【図表4】
重症化予防の取組方策別実施状況(人口規模別)
○ 重症化予防は、人口規模別全てにおいて主に受診勧奨と保健指導により実施されている。
○ 受診勧奨、保健指導、その他の方策では、人口規模が大規模である保険者ほど実施しているが、健
康教育、健康相談は中規模である1万人以上5万人未満の保険者が最も実施している。
7 1.5%
70 .8 %
61.2%
50 .2 %
64 .8 %
60.4%
5 3.1%
42 .9 % 3 0.0%
3 0.8%
3 2.2%
1 9.6% 15 .7 %
2 5.0%
26 .3 %
20 .2 % 13 .9 %
9 .6 %
10 .1 %
7.7%
0% 50 % 100%
1 0 万人以上
n=2 6 7
5 万人以上1 0万人未満
n=2 6 0
1 万人以上5 万人未満
n=6 9 3
1 万人以下
n=4 9 6
受診勧奨
保健指導
健康教育
健康相談
その他
複数回答
その後、平成 28 年度保険者努力支援制度前倒し実施のために、平成 29 年 1 月時点の 実績
18
により市町村から申請された内容を見ると、日本健康会議の宣言2の要件を全て 達成したのは 816 市町村となり、平成 28 年3月との比較では約7倍に増加した(図表 5)。
【図表5】
要件
保険者データヘルス 全数調査 (平成28 年3 月時点)
市町村糖尿病性腎 症重症化予防 取組内容調査 (平成28年10月1日
時点)
保険者努力支援制度 の前倒し (平成29年1月時点)
糖尿病性腎症の重症化予防の取組を行っている 659 1236 −
現在は実施していないが予定あり 362 − −
現在も過去も実施していない 520 − −
過去実施していたが現在は実施していない 35 − −
①対象者の抽出基準が明確であること 622 1317 −
②かかりつけ医と連携した取組であること 503 − −
③保健指導を実施する場合には、専門職が取組に携わること 566 − −
④事業の評価を実施すること 582 526 −
⑤取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の糖
尿病対策推進会議等との連携(各都道府県による対応策の
議論や取組内容の共有など)を図ること
136 192 −
全要件達成数(対象保険者) 118 − 816
かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800
市町村、広域連合を24団体以上とする。その際、糖尿病対策推進会議等の活
用を図る。
宣言2
重症化予防の達成基準の該当状況
18
12 (2)広域連合
保険者データヘルス全数調査によると、平成 28 年3月時点で、糖尿病性腎症等の重 症化予防の取組を行っている広域連合は、個々の要件を満たしていないものも含め9広 域連合であった。広域連合の取組については、高齢者の特性を踏まえ、糖尿病性腎症の 重症化予防に加え循環器疾患、筋骨格系・運動器疾患等の取組についても対象としてい る状況にある。
さらに、平成 28 年 11 月に実施した後期高齢者医療広域連合糖尿病性腎症等重症化予 防取組内容調査結果(図表6)によると、同年 10 月 1 日時点で、受診勧奨については 21 広域連合、保健指導については 17 広域連合が実施しており、今後実施予定を合わせ ると、それぞれ 26、21 広域連合となった。しかし、実施している広域連合においても、 目標設定や評価の実施、糖尿病対策推進会議との連携状況などに濃淡があり、対象者の 抽出などについて課題ととらえている現状が明らかになった。
【図表6】
(3)都道府県